




樹脂成形品の作成から当て推量をなくす
金型製作に先立つ樹脂流動解析(特許取得)により、画期的な水駆動型削岩機の多くの部品を、世界中の採掘業者が必要とする絶対精度を維持しながら製造できるようになりました。
Leicestershireに拠点を持つDudley Associatesは、ドリルの回転駆動装置を覆い、地中2キロメータまで及ぶ採掘装置の掘削面を破損と汚染から保護するための重要なポリマー製カバーを製作しています。
"VISI Flowを使えば早い段階で全ての問題を捉えることが出来るので、金型製作を始める前に変更を施すことが出来ます。”
設計エンジニア Kevin Steele
作業監督John Churchardは言います。ポリウレタンで充たされた長いガラス繊維で作成されるカバーの精度が状況を左右します。「部品の平坦度は特に重要です。部品の中には駆動ギヤがあるため、ねじれや反りがあると駆動装置が部品に接触し、結果的にドリル掘削効率に悪い影響を及ぼします。」
彼は言います。地中での厳しいドリル掘削に耐えるためには、充分堅固な樹脂成形カバーを作成する必要がありますが、それ故ウェルドラインと弱い部分は致命的なものとなります。従って、それを避けるために射出成形工程で使用される高機能、高精度アルミニウム金型は不可欠であり、それがDudley Associatesを自動車、医療、エレクトロニクスなどの幅広い分野において高級アルミニウム金型の第一人者に位置付ける証になっています。
このような特殊金型を作成する前に、DudleyはVISI Flow(Vero Softwareが開発した樹脂流動解析とシミュレーション)を使って、金型設計と成形工程パラメータを最適化します。この“製造前解析”により、最適なゲート位置を決定する際に発生する可能性がある反り、ウェルドライン、エアトラップ、充填問題、ホットスポットなど多くの潜在的な課題を製造前に検知することが出来ます。
設計エンジニアKevin Steeleは、VISI Flowなしには試し打ちまでに多くの問題を認識出来ないでしょうと言います。「部品への充填が難しい場合は、ゲート形状を変更するか、あるいはゲートとランナーの位置を変更する必要があります。これは成形機上では行えないので、モールド金型を加工現場に戻して修正作業を行い、その後成形機に戻して再度試し打ちを行います。これでは費用と時間が掛かってしまいます。」
彼は言います。「VISI Flowを使えば早い段階で全ての問題を捉えることが出来るので、金型製作を始める前に変更を施すことが出来ます。」VISI Flowを使って成形品試作から当て推量をなくすことで、明日の問題を今日取り除くことが出来るのです。
削岩機カバーのような成形部品がうまく機能するかどうか解析する時は、Kevin Steeleは樹脂流動シミュレーションを確実なものとするために、VISIの機能を使って部品肉厚を検証し、小さなフィレットや溝などのフィーチャーを取り除きます。部品品質が満足の行くものになれば、ゲートを付加します。「最も複雑なゲート配置以外は、ランナー/ゲートの中心線をスケッチし、関連するフィーチャーを適用することで容易にゲート配置を行えます。その後、モデルの解析に移ります。」材質は7,500以上のポリマーを有するVISI Flowのデータベースから選択し、そして成形パラメータを設定します。「私は通常VISIの推奨値に基づき最初の解析を行い、その後せん断応力、温度、圧力、表面固化層の結果を確認します。これらは“簡易”から“過度”にグループ分けされ、何か問題があるようであればその値を取り込み、部品のどこに問題があるかを調べます。」
必要に応じてパラメータ変更を行い、満足の行く結果が得られるまで解析を繰り返します。このプロジェクトをVISI Flowで解析した結果、Kevin Steeleは中央に4点複数ゲートを配置し、必要に応じてゲートサイズあるいは位置を調整することにしました。「解析は行ったがさらに詳しく知りたい部品に対しては、私は保圧解析を適用します。VISI Flowは保圧と冷却時間を計算出来ますが、さらに充填解析を行うことで部品のどの箇所がどれ位の時間で固化するのかを確認出来ます。」これに続いて形状解析を行いますが、通常は移動を制限する金属製インサートのようなフィーチャーがない限り、さらなる情報を必要とすることはありません。
「次に、部品のどの部分にどの程度の歪みがあるかを調べる事が出来ます。そして、歪んだ部品のSTLファイルをCADシステムに受け渡し、元のCADモデルと重ね合わせることで2つのモデルを視覚的に比較出来るので、大変便利です。」
このようにVISI Flowが持つ多くの機能を利用することで、Dudley Associatesは成形品が射出成形機の中でどのように振る舞うのか全体像を掴むことができるようになりました。そして自信を持って高級アルミニウム金型の作成を行えるようになり、今ではEngel Victory製300トン射出成形機(ロボットアーム付き)を使ってカバーを製造しています。
Dudleyの親会社Peterstow Aquapowerは、伝統的な油流体力学または空気力学を必要としない未処理水で作動するドリルを南アフリカで製造しています。多くのドリル部品を金属から成形樹脂に変更することで、それは著しく小型で持ち運びやすく、また操作しやすいものになりました。閉ループシステムでは油または有害な化学薬品が不要で、専門家であるPeterstow Aquapowerの技術により高度な技術を必要とする地中でのインフラの多くを削減し、著しく効率的で費用対効果の高い技術を実現しました。
製造後解析
掘削ドリルカバー用の完璧なモールド金型作成でその有用性を証明した製造前解析に加え、Kevin Steeleは、稼働中の古いモールド金型が期待した効果を出していない時に、VISI Flowの製造後解析機能も使用しています。「問題を再現出来た場合は、処理を行うためのパラメータを色々いじって見て、何が起きるかを調べます。この様にVISI Flowを使う事で、1日中機械を止める事無く、問題解決に必要なオプションを納得行くまで試す事が出来るのです。」
Dudley Associatesではオプションであるオーバーモールディング用モジュールも購入し、画面上で数字に印を付ける電子bingoの筐体用金型作成に大いに役立ちました。筐体はPC/ABSを使ったTPEオーバーモールドです。
拡張
ビジネス拡大を模索する中Dudley Associatesは最近隣接する工場を買収し、結果的に敷地面積は全体で14,500平方フィートになりました。現在従業員は総勢35人で、8台のEngelとBoyの射出成形機を新しい敷地に移す際は、さらに増える見込みです。生産現場にある多くの表面研削盤、手動切削盤、CNC切削盤、旋盤、放電加工機は現在の場所に留まります。
ユーザー情報:
会社名: Dudley Associates
Web: www.dudleyassociates.com
- 製造前解析により製造上の潜在的問題を検知
- 解析により最適なゲート位置を決定
- 7,500ものポリマーでせん断応力、温度、圧力、表面固化層を確認
- 効果の出ていない金型の製造後解析
「VISI Flowを使えば早い段階で全ての問題を捉えることが出来るので、金型製作を始める前に変更を施すことが出来ます。」
設計エンジニア Kevin Steele