




VISIで正しい路線を
鉄道モデルファンが欲しがる細かくて小さな縮尺模型を作成するためのモールド成形精度には、しばしば自動車産業の製品よりも厳しい精度が求められます。
世界中で一番多くの鉄道線路モデルを製造するPECOは、英国全土約450のモデル店に製品を卸し、また世界30カ国以上へ輸出を行っています。新製品開発マネージャーPaul Hitchcockは言います。「PECOは、樹脂射出成形で作った線路とアクセサリーの品質の高さと細部の仕上がりの良さで定評があります。」
"VISIによって新しいモールド金型製造が格段に楽になり、工程全体がより効率的になりました。"
新製品開発マネージャー Paul Hitchcock
モデルを縮小するに従って、生産は極端に難しくなってきます。しかし、Vero Softwareの製品を使えば生産をより簡単に行うことができます。一連のVISIモジュールを使って作業を行うことで、高い精度を実現できるだけでなく、設計時間を30%短縮することができます。また同時に製造工程におけるCNCプログラミング時間を短縮できます。
使用する材質は最終成形品に依存します。例えば、インサート成形金型にはUddeholm ‘Orvar Supreme’鋼、そして交換可能なキャビティー入れ子には、アルミニウム、HASCO 2311- 2312、黄銅を使います。また、製品自体にはポリエチレン、ASA、アセタール、ナイロン、HIPSなどの一連のポリマーを使用します。
線路の公差は非常に重要です。エンジニアリングと開発担当取締役Ben Arnoldは言います。「我々は、それ自体に公差が存在する金属部品を使って多くのインサート成形製品を生産します。最終成形品である線路の際に沿ってバリがでないように、金型は製品の周りにきちんとかつぴったりと収まる必要があります。その意味で、いくつかの金型公差は自動車向け製品の金型公差より厳しい場合があります。」
線路の部品は正しい位置で正確に金型に接触する必要があります。Paul Hitchcockは言います。「もし正確に金型に接触していない場合は、バリが発生し不良品となります。従って、実際はn次の精度になるように作業を行います」。駅ビルや信号のようなモールド金型の精度は10から20ミクロンですが、それらは通常5ミクロンを標準公差として使用します。
Paul Hitchcockは、金型設計用にVISI Modelling、VISI MouldとVISI Catalogues、VISI Electrodeを使用し、製品データはSolidworksから取り込みます。線路には特注の金型が必要なので、ブランク金型テンプレートにそのデータを取り込み、その後キャビティーを作成し、イジェクターピン、ガイドピン、そして他の標準部品を加えます。また他の多くの製品は、HascoまたはMeusburgerの部品を利用してVISIで金型設計を行います。
2010年に前のCAD/CAMシステムからVISIに切り替えて以降、設計された製品のモールド金型作成時間が約30%短縮されました。Paul Hitchcockは言います。「金型製造までに行われるいくつもの修正と変更、以前のシステムで使用していた履歴ツリー機能は度々問題を起こしましたが、VISIはコンカレントな設計と製造機能を提供してくれます。つまり、設計と工具軌跡は容易に修正が可能だという事です。」
VISI Modellingには優れた機能があり、例えば以前のバージョンに影響することなくモデルを取り込む事が出来ます。「フェースの移動、ボディーの切断、キャビティーの作成も非常に簡単に行えます」。またPaul Hitchcockは、ファイルをDXF形式でAutosketchに統合する時、レイア構造は特に役に立つ事を見出しました。
VISI Mouldを使えば、たとえ製品形状が複雑でも簡単にキャビティーの作成や標準部品の配置が行えるので、自信を持って加工現場に正確な情報を渡すことができます。VISIを使い始める前は、モールド金型設計が不完全で、うまく行っていないかもしれないという不安を感じていました。「しかし、今では金型が設計通りに行けば、それはうまく行くことを知っています。」
そして、彼はVISIが別の価値ある側面を提供していると言います。「テーパ角を必要とするフェースがあるのに気付かずにキャビティーを作成しても、単にモールド金型モデルに戻って該当するフェースにテーパ角を加えるだけで対処できます。他に影響を与えることはありません。」
樹脂成形部品の設計が完了したら、次はCNCプログラミング工程に移り、VISI Machining 2Dと3Dを使用して電極の作成を行います。Paul Hitchcockは言います。「銅製電極のいくつかは細かい部分がある大変小さな部品で、領域を分割する必要があります。以前使用していたシステムには多くの問題があり、いくつもの特性が関係している領域を省いていました。その結果、詳細部分を犠牲にしていたのです。しかし、今は何も気にすることなく必要な部分を抽出するだけで電極を作成することができます。VISIは仕事のやり方を完全に変えました。単にVISI Electrodeを使って領域あるいはフェースを抽出するだけです。以前は、わざわざ3次元モデルから2次元スケッチを作成して電極を作っていたのです。」
複数のオペレーションを続けざまに定義できるので、部品加工に必要なオペレーション定義を素早く行うことができます。「1つの計算を走らせて次の計算に移ることで、それぞれの工具軌跡を別々に計算することができます。以前使用していたシステムでは、1つの計算を定義するとそれが終わるまで待つ必要がありました。それは時には30分にも及びました。これにより、部品加工のためのオペレーション定義時間もかなり削減できるようになりました。」
投資した工作機械は、電極加工用にMikron高速切削用マシニングセンター、SodickリニアモーターCNC4軸放電加工機、そして主にEngelとArburgの射出成形機11台です。またレーザーマシンもあり、微小Nゲージ・ラインサイドバイク用成形部品作成に役立っています。成形部品はVISIで作成され、STLファイル形式で保存した後、加工のためにレーザーマシンに直接取り込むことができます。
「VISIによって新しいモールド金型製造が格段に楽になり、工程全体がより効率的になりました。」
ユーザー情報:
会社名: PECOWeb: www.peco-uk.com
導入効果:
- CAD全体の柔軟性と履歴に起因する再生成の失敗が皆無
- 設計時間が30%短縮
- 効率的な電極設計と製造
- マルチプロセッサを利用したCAM計算
コメント:
「VISIによって新しいモールド金型製造が格段に楽になり、工程全体がより効率的になりました。」新製品開発マネージャー Paul Hitchcock