VISI Electrodeが工程改革の引き金に
金型メーカーの偽らざる評価です。新しいSodick EDM AG60L放電加工機とVero Softwareの電極設計用モジュールVISI Electrodeの組み合わせは、銅製電極製造に改革をもたらしたと。
Alliance Tooling Ltdの最高経営責任者Luke Parsonsは、最近製作した家庭用洗浄スプレーの引き金用モールド部品を引き合いに出します。“我々は金型用に10種類の異なる電極が必要でしたが、以前は設計するのに10時間掛かっていました。つまり、それぞれの電極設計に1時間掛かっていた事になります。しかしVISI Electrodeを使う事で設計時間は80%短縮され、今ではそれぞれの電極設計に掛かる時間は10分以内です。”
"VISI Electrodeは、Sodickの作業者に具体的作業内容を伝えるための視覚的情報を提供します。これは精度を維持するために最も重要な事です。"
Luke Parsons, Managing Director
金型メーカーのIan Jarvisは、VISI Electrodeにより仕事が格段にやり易くなったと言います。“引き金用モールド金型のフィレット部に多少の修正を加えた後、放電加工を行いたいフェースをクリックするか、あるいは放電加工したい領域を3次元境界で囲むだけです。そして、それらを金型モデルから抽出するだけで、素早くかつ簡単に必要とする電極形状を作成する事が出来ます。”より複雑な領域に関しては、画面上でフェースを選択するだけで簡単に抽出出来ます。
直観的なインターフェースに従って、電極形状を作成して行きます。例えば、簡単な手順で抽出したフェースをさらに編集し、垂直方向・テーパ方向・接線方向に高さを延長する事が出来ます。“もし抽出したフェースを延長したければ、余分なテーパを少し加えてストックを加えるだけです。もしストックの付いたリブを作成したいなら、強度を高めるために素早くかつ簡単にストックにフィレットを付ける事が出来ます。”
電極の開いた側面に対しては、自動側面延長のための複数押し出し方向の利用が役に立ちます。ベースとストックを対話的に付け加え、電極作成中にいつでも動的アニメーションと干渉チェックが可能です。“Erowaホルダーを使用する場合は、データベースから形状を持って来て、潜在的な干渉を取り除きながら放電加工全体をシミュレーションする事が出来ます。”
Leicesterを拠点とするAlliance Toolingは、家庭関連用品、POS、庭関連製品、建築産業、医療と調剤関連製品、そして自動車産業向けのアルミ及び鉄鋼製のモールド金型を製作しています。彼らは、最初に少ない工数で多数の電極を必要とする薬の調剤部品用モールド金型を製作するために、電極設計と製造工程を改善する必要性を理解していました。Luke Parsonsは言います。“この見直しにより、電極モデル作成と放電加工の問題点が浮き彫りになりました。”
Sodick AG60L 6ステーション電極交換付放電加工機は、この問題点を克服しました。“荒取サイクルはこれまで見てきたものの中で一番早く、そして電極交換機能により完全自動運転が可能になりました。”VISI Electrodeを利用するという事は、我々は電極を必要とする前に使用出来る電極を持っている事を意味します。“これまでは、電極が準備出来ると放電加工を行い、次の電極が出来るまで生産は中断していました。”
Allianceは、VISI Electrodeのお蔭でSodickは休む事無く放電加工を続けられるが、完全電極工程を実現する前にさらに一つだけ克服すべき問題が存在する事を理解していました。それは加工データ作成でした。“最近までホルダーは1つだけでしたが、今では焼き入れ研磨した鋼材プレート上に位置決めされる新しい4つの電極用チャックから成る専用治具を用意しました。これはHardinge Bridgeport上の恒久的固定治具であり、今やそれぞれの加工データを結合する事により、4つの電極をバッチで加工する事が出来ます。勿論完全自動運転を使って。”
Luke Parsonsは続けて、いかにVISI Electrodeからのデータ出力がAllianceの時間と材料使用率を節約したかをも説明します。“以前は、金型上に外見形状は同じでも複数個所に異なる向きに配置された形状に対しては、同じ形状を持ち異なる配置角度を持つ複数の電極を作成する必要がありました。今では、ただ1つの電極を全ての必要な位置で使用する事が出来ます。何故なら、VISI ElectrodeがXYZとU方向の位置情報を提供してくれるので、同じ電極を使って全ての共通形状を作成出来るからです。やる事と言えば、機械上で電極を物理的に回転させるだけなのです。”
設計上の問題を克服し、製造工程の改善が出来る事に加え、Luke ParsonsはVISI Electrodeを使う事で100%正確な電極が作れる確信があると言います。“電極を位置決めして放電加工を行うのは1回のチャンスしかありません。間違いは許されないのです。VISI Electrodeは単に電極を作成するだけではありません。それは座標表、電極図面とワークピース図面、XYZとU座標、そして開始点と終了点を出力します。それはSodickの作業者に具体的作業内容を伝えるための視覚的情報となります。これは精度を維持するために最も重要な事です。”
彼は、Sodick放電加工機とVISI Electrodeの組み合わせが既に電極の設計と製造に革新をもたらした一方で、それは来たる12ヶ月以内に売上高を倍にするという目標を間違いなく達成するための要因になる、と言います。
この目的達成は、既存のCAMシステムをVISI Machiningを含むVISI製品で段階的に置き換えて行く計画にも後押しされています。樹脂成型部品は既にVISI Modelling、VISI Analysis、VISI Mouldを使ってモデリング、設計、解析を行っています。“最終的に目指している事の1つは、最終的に全ての金型の設計と製造を、ワイヤ加工モジュールVISI-PEPS wireを含む単一統合環境下で行うという事です。”
VISI Machiningへの切り替えにより、Allianceでの加工データ作成時間が大幅に削減されました。工具、加工オペレーション、送り速度、回転数、切込み深さなどを含むソフトウェア・テンプレート(ひな形)を保存し、似た様な形状を持つ電極に対して再利用が可能です。それらを新しい電極に適用する事で、これまでの作業で既に実績のある設定と社内標準を使って、自動的に新しい一連の工具軌跡を作成します。
Parsonsは最後に言います。“Allianceは何年にも渡り大変特殊なノウハウを構築し、我々はこのノウハウを最新の工作機械とCAD/CAM技術に結び付けました。Veroは我々の生産計画にとって重要なパートナーであり、我々がこれまで以上に迅速に顧客の要求に応えられる事を保証してくれます。”
ユーザー情報:
会社名: Alliance Tooling Limited
Web: www.alliancetooling.co.uk/
導入効果:
- VISI Electrodeを使って設計時間を80%短縮。個々の電極作成時間は10分以内。
- Erowaホルダーをデータベースから取り出し、潜在的な干渉を取り除きながら放電加工全体をシミュレーション
- Sodick AG60L 6ステーション電極交換付放電加工機で完全自動運転